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世界の青年との比較から (歴史教育の過ち)

kage

2003/12/18 (Thu)

 ワープロで二宮尊徳を出そうとキーを叩くと「二宮損得」と表示されてくる。またどこにいても見られた二宮尊徳像は戦後わけなく消えてしまった。理由を探ったことはないが「労働と勤勉」の両立化を捨てさせる風潮が日本の教育界を駄目にしてしまったと思う。

 その結果、日本人は物質的幸福を追い求め過ぎ、金銭のみを追い掛ける拝金国家に成り下がってしまった。結果オウム事件に示唆されるように考えない人間ばかりになってしまったようにみえる。そんな日本国の教育をうけて育った青年たちと世界の青年たちとの考え方を比較してみると「自分の国の役に立ちたい」という項目では韓国が87.4%・アメリカが81.1%・フランスは54.8%・イギリスが46.5%・日本が41%と愛国心において他国の青年たちと比べてかなり低い意識下にある。

 「そのために自分の利益を犠牲にしてもよい」との意識については韓国54.4%アメリカは56.9%・フランスは11.5%・イギリスが22.5%・日本は5.5%である。「年老いた親はどんなことをしても養う」の項にいたっては、韓国が69.4%アメリカは52.0%・フランス55.5%・イギリス44.6%・日本は25.4%とかなりの低さだ。4人に3人は親を養うことを拒否しているのだ。この数字は総務庁青少年対策本部が発表した世界青年意識調査の結果である。この数字をみて日本人はいったいどんな考えをもつのだろうか。日本人として言いようのない恥ずかしさと、薄ら寒さを感じない人はいないと思う。しかし、現実の調査であり現実の青年意識調査の結果である。

 古いようだが、日本人特有の美徳が親孝行や勤勉、我慢、兄弟愛、郷土愛、愛国心、師の恩、質素倹約といった、人間が本来どんな勉強や仕事よりも大切にしなければならない徳目のようなものが、みごとに消えてしまったのではないか。

 宮沢賢治は「世界に不幸があるかぎり我に幸いなし」という。利他性なきところに人間の幸福はないというのが彼の人生観だ。人生の目的とはある意味で幸福の追求であろうが自らの幸福追求とは他者・共同体への貢献意識なくしてはもたらされないと発想することは人類史からの最大教訓なのであろう。しかし、この調査をみると愕然とする。日本の青少年達は、世界の中でもっとも利他性や犠牲心に欠落する存在になりはてている。毎日のニュース報道では政治家や官僚の腐敗・汚職の多さ。世界は日本人の自浄力の弱さに呆れている。福祉はバラまき、教育は大混乱、既得権に執着する人間はその社会的責任を果たさない。子どものいじめや自殺の蔓延。若者の遊民化。こうなると、戦後五十年経済復興を遂げたとはいえ、国家としての足腰はフラフラの状態だ。その構造の制度疲労は極限状態にあると認識しなければならない。

 調査項目はつづく。「外国から日本が侵略されたら」の問いに、「守る」が10%、「守らない」「逃げる」と答えたのが90%だった。世界にこういう国はない。

 人間の基本的資質において。世界が驚愕するほどの非良識・非常識を演じてしまっている。世界が相当の評価をする「教育勅語」がなくなり、その後それに替わる道徳教育も満足に行なえないまま今日まできてしまった。その他、あまりに重要な作文教育の軽視など原因は多々あろうが、その中でもっとも根本的原因になった存在が戦後歴史教科書ではあるまいか。小・中・高の歴史の授業をのぞいてみるとよくわかる。その大半は暗記教育だ。

 「関が原の合戦はいつ?」「頼朝が鎌倉幕府を開いたのは?」とにかく年号その他の暗記で授業のほとんどが費やされる。自らが生い育つ自分の国について考えることをほとんどさせない。世界のほとんどの国は神話的要素で子どもの心に歴史学習への興味・関心への火をつける。子どもは自国創造の始まりに胸をときめかせる。それをこの国の歴史教科書はすべて削除する。子どもの心から古代へのロマンも夢もすべて奪う。そこに加えて自虐、自虐、自虐のオンパレードとくる。「この国は他国へ出掛けて殺人しつづけた」「掠奪放火を重ねた」「レイプばかり」とくる。子どもの気持ちは氷のように凍てつく。「恐ろしい国」「悪い国」「ひどい国」「日本人に生まれてきた自分がいやになる」子どもはそう反応して大人になる。ドイツをみればいい。隣国のポーランドやフランスの教科書でその犯罪性が指弾され、その原因がドイツの歴史にあるとされる。ドイツは片面ではナチスの蛮行を徹底的に追求・断罪しながら、片面においてポーランドやフランスに執拗に抗議を繰り返している。「あれはナチスという鬼っ子が悪いので、ドイツ史の継続ではない」と、それも激しくだ。それをなぜ日本の国だけが、世界でたった一国「悪いのはすべて日本」式発想の歴史教育を行い、歴史教科書をつくるのか。

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