一万分の一の確立

2014/12/27 (Sat)
一万分の一の確立宝くじの話では無く、最高裁判所の話である。
小生等は安部三十郎を被告として3件の提訴を行なったが、その内の一つ「ポポロビル跡地が手には入らない事が分かっているのに、設計料等の支払を行ない、市に損害を与えた。よって、安部三十郎は損害を補填せよ」との判決は一審二審とも小生等の意見は棄却された。
よって、最高裁判所に上告理由書を書きしたため25日に郵送したが、上告の殆どは最高裁の判断を示さず「却下」となり、取り上げられるのは一万分の一の確立だという。
以下に上告理由書を掲載するので小生等の感覚がズレているのか、はたまた司法判断がズレているのか諸兄の判断を仰ぎたい。
上告理由書
平成26年12月25日
最高裁判所 御中
事件番号 平成26年(行サ)第8号 行政上告提訴事件
被上告人 米沢市長 安部三十郎
上告の理由は次のとおりである。
第1 事案の概要
1.本件の発端
市長選に「まちなかに図書館建設」の公約を掲げ初当選した被上告人は、いずれ公約の実行を考えていたが、その可能性は極めて希薄であった。
市長就任二期目の後半、次期三期目の市長選立候補を思案中の被上告人に、まちなかで営業中のテナントビルオーナーより「テナントビル建物と土地の無償譲渡」の申し出があった。
経済観念の薄い被上告人は、「これ幸い公約実現が出来る」と、この話に飛びつき、国より40%の補助金が期待出来る土地再生整備事業として計画を進めた。
2.議会審議
被上告人は議会にテナントビル跡地へ「まちなかに図書館建設」の計画承認を求めたが、当該地域はドーナツ化現象により土地価格は大幅に下落し、テナントビル解体費用が更地価格を上回る現況にあったため、議員より「更地にて土地を購入すべし」との意見が出された事により、被上告人はビルオーナーと交渉に入ったが「あくまでも土地建物の無償譲渡」を主張するビルオーナーとは合意に至らなかった。
しかし、被上告人は「土地は更地にて購入する事で合意した」と議会に報告し、計画は承認された。(山形地方裁判所米沢支部 平成24年(ワ)第49号建物明渡等請求事件原告陳述書より)
3.計画が議会承認された後の実情
計画具現化の為、テナントビル側はテナント(以下店子を意味す)に平成22年11月「平成24年4月20日をもって契約更改を行なわない」旨の通達を行なった。
しかし、テナントの1社が契約続行を希望し、その旨を平成23年1月に内容証明郵便にて返信したため、ビル側は立ち退き交渉に入ったがテナントの営業継続希望は強く交渉は難航していた。
4.予算の計上
被上告人は、立ち退き交渉が難航している事を報告する事なく、平成23年3月議会に、取得予定地への土地調査費・建物設計料・その他の費用を予算計上し、承認を得て公金支出を行なった。
5.計画の頓挫
国の補助金を予定している関係から、当該事業は平成26年3月迄の完工が条件付けられており、その為には平成24年4月より解体工事に着手する必要性があった。
平成23年11月、立ち退き交渉の進展が見られない為、被上告人自らがテナントの本社(東京)を訪れたが門前払いの扱いであった。
平成24年1月、被上告人はテナントに内容証明郵便にて立退き要請を通達するも反応は無かった。
平成24年4月、ビル側より「テナントの一社が立退きに応じないので、用地提供の期日は大分先になる」旨の連絡があり、被上告人は建設予定地を他の場所に変更した結果、それまでの公金支出が無駄となった。
第2 原判決の要旨
1. 上告人は、議決に至る迄の過程に於いて、「テナントが私権を主張し、立退きに応じない」と言う重要事項の説明が欠落している状態での議決は無効であるとし、公金支出を違法と主張した。
原判決は、①「支出された公金は、議決の款や項に計上されない費用であり、具体的な説明が無くとも、議決の効力に消長をきたすものではない。」との判断。及び、②議会の説明に於いての「テナントについては所有者と民民の関係でスタートしていただいている」の文言をもって、「テナント問題は説明されている」との判断を示し上告人主張を退けた。
2. 上告人は、米沢市公有財産の取得、管理及び処分に関する規則の第8条には「公有財産を取得しようとするときは、あらかじめその財産について必要な調査を行い、私権の設定その他特殊の義務があるときは、その所有者又は権利者をしてこれを消滅させるなど必要な措置を講じなければならない。」とあるが被上告人は必要な措置を怠ったと不法を主張した。
原判決は、「公有財産の取得までの間にこれらの必要な措置を講ずるよう義務付ける趣旨のものと解される」として上告人主張を退けた。
3. 上告人は、「テナントビル側とテナント間の立ち退き交渉は、既に実質的には決裂状態にあり、その状態での公金支出は不法」と主張した。
原判決は、①「用地の取得が不可能な状況にあったとは認められない」、②「予算の執行機関に与えられた裁量権を逸脱又は濫用して行なわれたものとは認められない」、③「公金支出後に生じた事情の変更により生じた結果にすぎない」と上告人主張を退けた。
4. 上告人は、被上告人が地権者と用地取得の合意が為されていないにも係わらず「土地は売買することで合意済み。」と事実と異なる説明での議決は無効であると主張した。
原判決は、判断を示さなかった。
5. 上告人は、建設費用は国の助成金を当てにしての事業で有る以上、制度の完成日の条件を満たすには、工事着手期日の制限が有るにも係わらず、地権者と用地引渡し期日の確約を取らない行為は善良なる管理者の注意義務違反を主張した。
原判決は、判断を示さなかった。
第3 原判決の理由不備と理由齟齬による問題点(民事訴訟法312条2項第6号)
1. 第2 原判決の要旨 1.の原判決①について。
上告人は、議決に至る迄の過程において「重要事項の説明が無かった事」による議決は無効と主張したが、原判決は「支出された公金は、議決の款や項に計上されない費用であり、具体的な説明が無くとも、議決の効力に消長をきたすものではない。」と原告主張を退けた。
その判断理由に、地方自治法第211条「普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。」・地方自治法施行令第144条1項1号「歳入歳出予算の各項の内容を明らかにした歳入歳出予算事項別明細書の作成」・同施行令第150条1項3号「歳入歳出予算の各項を目節に区分するとともに、当該目節の区分に従つて歳入歳出予算を執行すること。」を上げている。
この条文のどの部分が「具体的な説明が無くとも良い」と解釈出来るのであろうか。むしろ、施行令第144条1項1号では「各項の内容を明らかに・・」と具体的説明を求めている事から、原判決の理由不備は明白である。
2. 第2 原判決の要旨 1.の原判決②について。
重要事項である、テナントの不退去問題を報告しない議決は無効である、との原告主張に「テナントについては所有者と民民の関係でスタートしていただいている」の文言をもって、「テナント問題は説明されている」との原判決であるが、①テナントは内容証明郵便をもってビルオーナーに不退去を通達している事。②ビルオーナーの度重なる立退き交渉要請にテナントが応じない事。③市長たる被上告人が直接テナント代表に退去要請書状を送付するも返答が無い事、等は説明が為されていないし、加えて「所有者と民民の関係でスタートしていただいている」の文言であるが、実際には「民民の関係だけの交渉では事の進展が見られないので、当局も加わって立退き要請を行なっている」という重要事項の説明が欠落している。
この、民民の取引に当局が関与するという事は異例中の異例であり、いかに用地取得が困難な状態にあるかの証左で、これらの事情を議員に説明したと仮定すれば、予算の議決が得られなかった事は、後に行なわれた会議での議員発言によって明らかである。
そこで、地方自治法138条の2「普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う」の条文に鑑みれば、被上告人の言動は責任の取れない、不誠実極まりない、確実に予算を執行する義務を全う出来ない蓋然性が極めて顕著である。よって「所有者と民民の関係でスタートしていただいている」の文言のみをもって上告人主張を退けた原判決には理由不備がある。
3. 第2 原判決の要旨2.について。
米沢市公有財産の取得、管理及び処分に関する規則の第8条「公有財産を取得しようとするときは、あらかじめその財産について必要な調査を行い、私権の設定その他特殊の義務があるときは、その所有者又は権利者をしてこれを消滅させるなど必要な措置を講じなければならない。」の条文を、原判決は「公有財産の取得までの間にこれらの必要な措置を講ずるよう義務付ける趣旨のものと解される」との判断を示したが、「取得しようとするとき」の私権消滅時期の特定に齟齬がある。
条文の「取得しようとするときは・・」を仮に「エベレスト山登頂をしようとするときは、あらかじめ必要な調査を講じなければならない。」に置き換えて考えてみると分かりやすいと思うが、「必要な調査の時期」とは登頂を思い立った時であり、実際の登頂手続きの相当前の時点である。
もし、調査の前に登頂に必要な用具や一部経費の出費を行ない、その後の調査により莫大な費用の必要や、自分は過酷な気象条件に耐えられない事が判明したので登頂を中止した場合には、それまでの出費が無駄となる事は容易に想定出来る事であり、調査や私権消滅の前に出費を行なわないのが社会通念であり、かつ社会の常識である事から、原判決の条文解釈に齟齬がある。
それに「予算計上の時点が、公有財産を取得しようとしている時では無い」とするのであれば「公有財産を取得しようとしないで予算計上をした」事となり、地方自治法施行令 第150条1「予算の計画的かつ効率的な執行を確保するため必要な計画を定めること。」や、地方自治法138条の2「普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う」の条文に抵触し、原判決の理由不備は明らかである。
4. 第2 原判決の要旨3.について。
①「用地の取得が不可能な状況にあったとは認められない」、との判断であるが ・「テナントが内容証明郵便をもって不退去を通達している事。」 ・「地権者の度重なる交渉要請にテナントが応じない事。」 ・「市長たる被上告人が直接テナント代表に退去要請書状を送付するも返答が無い事。」 ・「市長たる被上告人が直接テナント代表に電話するも取り次いでもらえない事。」 ・「市長たる被上告人が直接テナント代表に合う為、東京本社を訪問するも門前払いの扱いを受けた事。」 ・「再度、市長たる被上告人が直接テナント代表に退去要請書状を送付するも返答が無い事。」 ・「市の担当者が東京本社を訪問するも代表者とは面会出来ず交渉が進展しない事。」等の事象は社会通念上「既に実質的には決裂状態にある」と判断するに十分であり、「用地の取得が不可能な状況にあった」と解するのが相当である。
②「予算の執行機関に与えられた裁量権を逸脱又は濫用して行なわれたものとは認められない」、との判断であるが、上記の事象から、用地の取得が不可能である蓋然性が容易に察しられるし、この様に用地取得が不確実な状況で工事を進める事の必然性や緊急性は全く存在しない状況での公金支出は、裁量権の逸脱又は濫用に該当するものとするのが相当であり、司法判断には理由不備がある。
③「公金支出後に生じた事情の変更により生じた結果にすぎない」との判断であるが、テナントの不退去の態度は当初より一貫しており、事情の変更責任は被上告人にあり、生じた無駄な公金支出のツケを市民に負わせる事を是認する司法判断は理由不備である。
5. 第2 原判決の要旨4.について。
被上告人が地権者と用地取得の合意が為されていないにも係わらず「土地は売買することで合意済み。」と、事実と異なる説明での議決は無効であるとの主張を行なった。
テナントビルオーナーの言う「寄付」と被上告人の言う「売買」では用地取得の効力に雲泥の差があり、「寄付」はいつでもその約束を取り消す事が出来るが、売買の約束は諾成契約である事から口頭でも有効であり、「寄付」では無く、「売買」にすべしとの提案が議員より呈された事は尤もなことで、被上告人が「用地取得は売買で合意した」と虚偽の説明で得た議決が有効であるとの司法判断であるなら、議会制民主主義の根幹を揺るがす大問題である。
議決に至る迄の過程に於いて、事実と異なる説明をもって得た議決の効力について、原判決はその判断を示さない理由不備があった。
6. 第2 原判決の要旨5.について。
本件事業の建設費用は国の助成金を当てにしている以上、制度の完成日の条件を満たすには、工事着手期日の制限が有るにも係わらず、地権者と用地引渡し期日の確約を取らないでの公金支出行為は、社会通念上考えられない事であり、善良なる管理者の注意義務違反であるとの主張を行なったが、原判決は判断を示さない理由不備があった。
第4 憲法違反
1. 地方自治体は地方自治法第2条1項で「地方公共団体は、法人とする。」と明記され、日本国憲法 第14条1項には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とあることから、行政訴訟に於いても行政側と住民側は法の下では対等の立場にあるべきだが、7人の弁護士に代理人を依頼した上告人は、何れの弁護士からも「行政に勝てない」を理由に依頼を拒まれた事は「はじめに行政側に勝訴ありき」の司法判断を彷彿させるものである。
用地取得の不確定な時点や、引渡し期日の定めない時点での公金支出を是とする原判決は、一般国民なら誰もやらないという社会通念を著しく逸脱するものであり、日本国憲法 第14条1項に抵触するものと主張する。
2. 上告人は控訴審の第一回陳述で、次回に新しい証拠(平成25年(行ウ)第5号損害買収請求行為請求住民訴訟事件の判決)による準備書面の提出を申し出たが、その機会を与えられず、只一回の陳述で結審となった。
これは、憲法第32条「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」とする法に抵触するものと主張する。
第5 まとめ。
1. 為政者は、すべからく民の安寧と福祉の向上を目的とし、法に従い行政施行する義務を負うものであるが、被告は新文化複合施設建設計画に関しては、三期目の市長当選という自我の欲望を満たす事を目的とし、以下の行為によって市財政に損害を与えた。
① 建設用地取得がほぼ不可能である事を予見出来たにも係わらず、その事実の議会報告を怠り議決に至った。
② 建設用地取得に付いて、地権者は土地建物の無償譲渡を主張し、被上告人の更地売買要望は合意に達していないのに、上程議案では売買で合意したと虚偽の説明を行ない議決を得た。
③ 計画遂行の為には期日限定の建設用地取得が絶対条件で有ったのに、地権者と土地取得の期日を決めなかった。
④ 建設用地取得が客観的に不可能である事を予見出来たにも係わらず、公金支出を行なった。
⑤ 被告は法科卒である事から、賃貸借契約でテナントの権利が強い事は認識しているにも拘わらず、相場より高い料金を支払っている顧問弁護士に相談をする注意義務を怠った。
⑥ 自分の選挙対策を第一義とし、本来の「住民福祉の向上」を目的としなかった。
以上の行為は、
地方財政法 第3条 地方公共団体は、法令の定めるところに従い、且つ、合理的な基準によりその経費を算定し、これを予算に計上しなければならない。
地方財政法 第4条1 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
地方自治法 第2条14 地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
地方自治法 第138条2 普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。
地方自治法施行令 第150条1 予算の計画的かつ効率的な執行を確保するため必要な計画を定めること。
民法 第416条2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
民法 第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
民法 第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法 第416条2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
民法 第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
の条文に抵触し、一般法人の代表者がこの様な行為で会社に損害を与えた場合には、株主総会で代表者は責任を免れないのが社会通念である。
司法がそれでも被上告人に非が無いと言うのであれば、以上の法の存在意義は失われ、無法国家の誹りを免れない。
2. 本件の第一審棄却判決は平成26年6月であったが、その後の平成26年9月には米沢市浄水道建設予定地購入を地権者と合意せずに計画を進め、調査費・建築設計費等の公金支出を行なったが、後に用地購入が不調となり、本件と同じ様に約1,600万円の無駄が生じた。
司法が裁量権等を採用し、本件に違法性の無い判断を下した結果、この様な無駄な公金支出が公然と行なわれ、本件に続き又しても本市の財政に多大なる悪影響を与えた事は由々しき事態であり、本件に違法性の無いお墨付きを貰った被上告人は、この後もこの様な杜撰な計画で事業を進めるであろう事は、そのツケを廻される市民に取って憤懣やるかたない心境にある。
つい近頃も、本市の経常収支比率が100%を超え、約10億円の歳入不足が明らかになった。
昨今は、地方創生が取り上げられ、地方自治の自助努力が問われる時代に、安閑として公金の無駄使いを容認するとも取れる原判決に、市民としてと言うよりも国民として異議を呈し、この様な司法判断がまかり通るのであれば、地方自治存亡の危機を誘発するものと訴え、国家の将来を見据えた勇気ある判断を期待して上告する次第である。

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