ありがたきもの

2004/07/17 (Sat)
ありがたきもの清少納言といえばご存じ「枕草子」。「ありがたき(めったにない)もの」その中で「姑に思わるる嫁の君」と書いている。
ひとつ屋根の下に住む者同志は、何かとむずかしい間柄になりがちなもの。
平安京の昔から今以てそう変わってはいないものだ。「親しき中に垣を結う」と古人は教えてきた。言うは易くのたぐいではあるが、竹垣ならば相手の姿が透けて見えるし、風も通る。
それでいて一定の境界線はあり、まことに具合がいいのだ。
垣をいつしか壁に作り替え、壁の内側でひとり妄想のとりこになっている。
自分だけの城をつくるよりは、壁にくらべるとひよわで、他人の侵入を受けやすい垣根のようだが、相手が見え風通しがいい環境にいると「ありがたき」ものといっている。
どうだろう。あなたは相手に壁を作ってはいないだろうか。それでは相手の姿も見えず風通しも悪くなる。
社会性にうとい人間になってしまうということ。そのためには壁を作らず、親しき者同志、個人の尊厳を認めあうための境界線を相手の姿が見える垣根にする知恵。
コンクリートの高い塀はともかく、ブロック塀のように他人を遮断するような塀の中に閉じこもるよりは、風通しもよく、相手が見える垣根がいい。
徒然章の中でも垣根の重要性を説いているくだりがある。
遮断より挨拶である。

「弱い善人は最も嫌いだ」。≪ | HOME | ≫人は未来を後向きに見ている。
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