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母への手紙

kage

2004/04/14 (Wed)

時は春、
日は朝、

朝は七時、

片岡に露みちて、

揚ひばり名のりいで、

蝸牛枝にはい、

神、知ろしめす。

すべて世は事も無し。  

春欄漫の季節が朔北の米沢の地にも到来した。詩はご存じR・ブラウニングの「春の朝」である。よく眠り足りた翌朝などは、心身ともに爽快で、目に入る万物の色彩はすべて鮮やかである小生はこの詩が好きで、若い頃は時々、口ずさんだものだった。

朝---春---人生の朝ぼらけ…「お早よう」と声をかわす。春の朝の読書。「母への手紙」と題した故春日一幸氏のコラムを読む。(以下原文)

私がやりたいことは、只ハラハラして、良くても悪くても、あなたはそれをジッと優しくくるんできてくれました。こんな深く濃い母と子というものが、外にあるでしょうか。私はもっちりした味の、温かいこころのあなたという上等の母を持ったことを、本当にありがたいことだと思っております。

果てしない夢を追ってその後、私が古里を出てまたもや街なかで繰らすになった時、私はあなたが息子のために流されたあの涙のにじんだチリ紙を、永らくの間、肌身離さずお守りにして、持ち歩いておりました。何時しか、その尊いお守りを失ってしまいましたが、しかし、私のために何回も何回も泣いて頂いたあなたの涙は、私の体の中に流れが溜まって、そのまましっかりと私のいのちのもとになっております。旅先の食べ物の不自由から、とんでもない長い手紙になってしまいました。この私の涙が溢れて止まりません。

母上、これからは、私ももっと落ち着いて、なるべく心配をかけませんが、ほんのこころのつぐないに、あなたも私に、何か無理難題をいい付けてくれませんか。

今、私の願いは何かと訊ねられれば、「それは次の世もあの頑固な父、でもこすいことや、ずるいことの微塵もなかったあの父の子として、同じあなたの腹から生まれたい」という、このひとことです。そして、その次のまたその次の、次の世も---。  

野口英世の母シカさんの手紙に触れた時とおなじような感動を覚えた春の朝の読書だった。「わが子の虐待・子殺し」「孫子の親殺し」が、連日、朝のテレビに暗い陰をなげかけている今日この頃、春日一幸氏の手紙に救われたような思いだった。母と子の関係は時世にいじられない「もっとも素直で愛情を面に出した関係」が、昔も今も変わらぬ摂理だと安堵した朝だった。

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