一日中、お母さんの顔を見ていたい!

2004/03/22 (Mon)
19歳に成長した全盲の男性がいる。「家族がこの子をしっかり守ってやらなければ」と、母親は家族をまとめあげ、無事に盲学校を優秀な成績で修め卒業させた。家族たちには言葉に言い表せないほどの苦労があったに違いない。 ある人が全盲の彼に聞いた。「もし、あなたの目が見えたとしたら、今なにを見たいと思う?」彼は答えた「お母さんの顔を一日中見ていたい」 その言葉に感動したその人は、次の問い掛けを忘れてしまったという。小生に話してくれた人は4月に開所する知的障害者の施設理事長である。 彼に「お母さんの顔を一日中見ていたい」と言わせた言葉の陰には母親と家族の愛が凝縮されている。 家族の崩壊が取り沙汰されている現在、久しぶりに救われた気持ちがしたものだ。私ごとだが小生の戯曲に「次の世は虫けらでも」と題した越後ゴゼの物語がある。肺炎で亡くなったゴゼの幼児に、若いゴゼが泣き叫ぶ「こんど生まれてくるときは、お母さんから暖かい目をもらってくるんだよ」そして苦渋に滲んだ声で祈るように「こんど生まれてくることがあったら、虫けらでもいい。見える目がほしい!」。確かな目をもった自分たちの目に映るものは一体何であろうか。答えは自分で出してみるがいい。

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