小説「現代国盗り物語」その8

2023/10/28 (Sat)
小説「現代国盗り物語」その8市の予算は議会で審議され、議決をえて出金ができると思っているだろうが、事実は大雑把な名称で議会に上程され、中身は審議されずに可決されるものだ。
そこで令和4年度予算議会で「米沢市版DMOの設立」として議会へ5,500万円を計上したが、これが「お縄にならない、公金詐取」という深い企みがあると気づく市議は一人もなく、思わく通りあっさりと可決承認されたのだ。
予算確保の目処が付いたので、その予算の受け取り部署として「米沢市観光推進機構」を設立し、元会社役員Dの会社を、この機構の実行部隊として、獲得予算の5,500万円をそっくりDに支払うことを機構の会議に上程したが、これも反対する者は誰もなく、スムーズにことは運んだ。
Dに入金されたのは公金(税金)であるが、一旦、民間会社Dの手に渡ると米沢市の監査は及ばず、使い放題なので、取りあえず元会社役員Dの会社が手にした5,500万円の内、600万円を元官僚のAが設立したペーパーカンパニーに振り込ませ、市長選の選挙資金としよう。DからAへの支払い名称は「コンサルティング料」とすることにした。
これからがウルトラテクニックで「お縄にならない、公金詐取」の手口だ。
我が輩が元会社役員Dの会社から直接金を受け取れば政治資金規正法に抵触し、議員としての座を失うことになる。
そこで元会社役員Dの会社には、我が輩が指定する会社Eと取引することを指示し、Eの請求額を支払うのだが、この取引に実態はなく、Dは金だけをEの口座に振り込むのだ。
Eは過大請求が報じられたブラック企業で、「おぬしも悪よのう」の世界に浸っている会社であるから我が輩とは馬が合う。
仕事もしないでEに振り込まれた金は、幾ばくかの手数料を払い、残りは我が輩の指定口座に振込を指示するが、名目は「政治献金」とする。Eは「政治献金」として損金計上できるので損益には影響ないし、振り込んだ金を政治資金として、将来、副大臣・大臣になるであろう政治家との付き合いは、何かとメリットあると考えて、我が輩との交渉は順調に進んだ。
小説「現代国盗り物語」その9に続く

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