仙台高裁の興味ある判決②

2020/07/14 (Tue)
仙台高裁の興味ある判決②長岡氏が県に求めたのは「東海山形学園の財務書」類だったが、肝心部分が塗りつぶされ、内容を知ることの出来ない書類であったことら、全文開示を求め山形地裁に起訴した訳だが、山形地裁は県が主張する「財務書類の詳細な内容を開示すれば、法人の正当な利益を害するおそれがある」との理由を支持し、県側勝訴・原告側敗訴の判断を示した。
上場民間企業なら「財務書類の公開」は当たり前で、公開したことにより不利益を受けた話など聞いたことがない。ましてや公金の助成を受けている学校法人が情報を公開しても何の支障もないと考えるのが社会通念だろう。
かように裁判官と民間人との感覚にはズレがあり、小生も裁判官の常識には疑問を持っている。
それは、ナセバ建築工事の際に請負業者が10月に大幅な工事遅延を出し、納期である12月までに完成することができずに、完成が翌年の3月までの遅延工事に対して、本来請負業者に違約金を求めるべきところ、米沢市は何と12月の大雪を理由に3,000万円を上乗せして工事料を支払ったのである。
小生等は「10月の工事遅延と12月の大雪は無関係なので3,000万円の公金支出は違法」として起訴したが、裁判官は10月の工事遅延には一言も触れず「工事遅延は12月の大雪が原因」との判断を下して小生等は敗訴した。
T弁護士は「行政訴訟に法律は関係ない。常に行政側の言い分を認めて判断を下すのが常套であるから、住民側は負けます」とにべもない。
しかし、長岡氏は山形地裁の判決を不服として仙台高裁に控訴し、今年の3月に下されたのは「県側敗訴・原告側勝訴」の逆転判決であった。
長岡氏はこのことに次のようにコメントしている。
「山形地裁の裁判官たちはトンチンカンな判断をしたのに対して、仙台高裁の裁判官たちはまっとうな判断をしてくれました。高裁の判決で一番うれしかったのは、判決文の中に「情報公開は社会全体の流れである」という表現を盛り込んでくれたことです。自由で公平で、より開かれた社会へ。それは歴史の大きな流れであり、私たちはそれぞれの立場で、その大きな流れをより確かなものにするために力を注がなければならない。そう励ましてくれるような判決でした。
吉村美栄子知事は仙台高裁の判決に納得せず、上告しました。最高裁がどのような判断をするか分かりませんが、歴史の大きな流れに逆らうような、理不尽な判決を下すことはないたろう、と信じています。」
法に関心のある方なら「画期的な判決」として興味津々の出来事であろうが、社会の公器である新聞・テレビのマスコミには興味がないのか報道の記憶がなく、山形のタウン誌「素晴らしい山形」が取り上げているのを知るだけである。

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