市長選②

2019/11/17 (Sun)
市長選②討論会で両者の主張に大きな違いが感じられたのは財政面での考え方である。 中川氏は、収支決算が黒字であることと財政調整基金の増額に胸を張ったが、収支が黒字だからと言って財政面が好転したとは言えない。
収支決算上の黒字とは、収入から支出を差し引いたときのプラスの額であり、借金を多くするか、市民サービスを控えれば黒字額が増える仕組みで、複式簿記の貸借対照表の黒字とは異質のものである。
安部市政でナセバ建設を行ったとき、「収支は黒字である」と説明していたが、議会で財政調整基金を取り崩したりしての黒字が問題となり、実質赤字であることが炙り出された。
財政破綻した夕張市も「収支決算は黒字」と市民に説明し、借金を重ねた末に破綻したように、為政者がその言葉を口にしたときは要注意である。
又、財政調整基金も市民サービスを控えれば増える訳だから、これを持ってのみ「増額した」と胸を張るのはナンセンスである。
近藤氏は「もう進行しているので止める訳にはいかないが」と前置きして、市庁舎建替71億円と新病院建替に200億円もの投資額に財政面の不安を述べたが、中川氏は「新病院の利益で返済」と意に介さない(いにかいさない)発言だった。
新人の影澤政夫市議も10/7の自主発行「かげさわ新聞」で「未処理欠損金処理96億円余り、さて」と題して、現在の市立病院の財務内容に不安を呈しているのは正常な感覚で、マニフェストに「破産などありえません!」と表記する中川氏の市政運営には不安を覚える。
200億円もの大事業である新病院運営については市民への丁寧な説明が必要だが、中川市政では殆ど為されずに「病院に聞いてくれ」と言うので、病院に聞けば「大丈夫」を強調するばかりの的を射ない返事に不安は増幅する。
利益を上げている公立病院は全国的にも少数の中で酒田の日本海総合病院が黒字経営なのは、そこには栗谷義樹院長という有能な人材の存在がある。
米沢市立病院の場合は、赤字を市の一般会計から補填しても100億円近い累積赤字を抱え、精神科は医師を確保できずに閉鎖に至るという人材のままで「新病院の利益で返済」や「破産などありえません!」と発する中川氏より、財政面を心配する近藤氏に為政者としての資質を感じる。
【続く】

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