山形県政に忍び寄る改革のうねり

2009/01/30 (Fri)
開票真近の時間になって「吉村米沢事務所」の運動スタッフから電話が入った。「投票の雰囲気や内容はどうだったろうか?」吉村候補の運動に心血を注いで頑張りつづけていた知人からの電話である。余程第三者の選挙展望を聞いてみたかったのであろう。ちょうど二次試験が済んで合格発表をまつ受験者の心境とおなじ心根なのだろう。
小生にも不安の入れ交じった合格発表を待ちつづけた経験もあり、市長選挙で僅差におののくスタッフたちに檄を飛ばしながら18票の差で勝利した雪の晩を知っている。だから、通勤員たちの自信と「もしや?」との不安が交差する拠り所のない運動員だけがもつ感受性だけは小生にも理解できるものだった。
「吉村候補が勝ったよ。ご苦労さん」そう答えて電話を切った。有権者の改革に対する「うねり」が感じられていたからだ。無論、あくまでも小生ら物書きがもつ特有のカンというものだろうが、小生の言葉にはひどく自信があった。
「米沢はどうでしょうか?」地区を担当した運動員としては最も気になるところであろうが即座に答えた。「米沢はおろか置賜地方の市町は全敗だろう。考えようだが置賜地方も稀にみる大勝だと結論すべきだろう」
開票結果に一喜一憂する事務所に迎えの車で出掛けてみた。票が先行する度に喝采が起きる。逆転となると会場は「まさか?」の不安に静まりかえる。同時に小生に視線が集まる。「大票田の山形が開き、さらなる逆転勝利となっておしまいだよ」えらそうに答えて隣の病院長が小生の顔を不安気にのぞき見る。テレビの速報は斎藤候補逆転のままで動かない。
やや時間を経て吉村候補に当確が出た。「なして?」と疑心暗鬼とが入り交じった気持ちで「万歳」と歓喜する事務所をあとに家路に着いた。途中で念のため吉村事務所をはさむ向かい側に陣取った「斎藤米沢事務所」の前を通ったが、人影も疎らで事務所を閉鎖する運動員の姿が3人、背中をまるめながら働いている姿が目についた。選挙に破れた事務所は、ひとり去り二入り去りして、残された事務所の静寂さにはいいしれないむなしさだけが漂うものである。
小生を自宅に送ってくれた運動員がいった。「問題は吉村知事をガードする識見のある人物がいるかどうかが問題ですね」「その通りだが、権力に媚いるのが世の常だから吉村知事が今から再選を願うような県政になるこどが心配だな。斎藤の轍を踏まないことだな」
人間というのは権力の座についたあと、よほど強靱な意識をもちつづけていなければ権力の崩落は目の前にある。歴史が繰り返し証明していることだ。破れた現職斎藤候補は敗因を「自民党に陰りが見えてきたこと」として現職時の反省を見せなかった。
陥し穴は権力に溺れてしまう人間の脆さにあることに無知であったことが敗北の最大の要因だと小生は見ている。斎藤候補自身が「空気の読めない」人物であったことは事実だ。置賜地方が全敗であったことは容易に理解できることである。
昔から「長いものに巻かれろ」とする群れの感覚とは別に「主君に弓を引かない」とする善政に培われてきた歴史上のDNAが脳裏の深層に生きずいているからであろう。したがって、改革などの争いを極端に嫌う気質があることだ。
置賜地方の首長は愚鈍な人物であってもボスらの活躍によって当選できる「愛」の文化が根強い地方なのだ。だが、今回の知事選には改革の地響きが力強く感じられたことは事実だ。

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