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「蟹工船」が読まれる理由とは?

kage

2008/08/02 (Sat)

 「おい、地獄さ行くんだで!」の書き出しではじまる蟹工船はプロレタリア作家小林多喜二の代表作品だ。各国語に訳され世界の蟹工船として読まれ続けてきた作品である。

  その蟹工船が都会の若者に読まれていると聞く。増版に続く増版で80年前に脱稿した作品が、今になって若者たちのブームになっているのは何故か?
  たしかに「蟹工船」という特殊な労働形態を取り扱い、殖民地、未開地における原始的な搾取の典型を、未組織労働者の問題をふくめて描き、その国際関係、軍事関係、経済関係を全体的明らかにしたものである。
  小説であり、戯曲ではない「蟹工船」が舞台劇として脚色され易い作品であったから後年になって映画や舞台劇として庶民の喝采を浴びてきた作品ともいえよう。

  米沢市では「演劇を観る会」の招致によって文化会館で上演されているから500人程度の人たちは舞台劇として「蟹工船」との接点がある。
  「蟹工船」が発表された直後、小林は小樽警察に召喚され、翌年の六月下旬、治安維持法で逮捕投獄された時、以下のセリフが問題となり不敬罪の追起訴を受けることになる。 献上品の缶詰に向けて「石ころでも入れておけッ!」と吐いたセリフが咎められたためだ。


  当時、北洋漁業は、国際的漁業権をめぐってソ連と対立し、国際的な注目を集めながら「国家的産業」として規模を年ごとに拡大していった。
蟹工船とは北氷洋の国際漁業戦に巨利を漁る「海に浮かべる移動カニ缶詰工場」でオーナーは海の中から金塊でも引き上げるようなものであったらしい。
 日露漁業の交渉が進まない現場ではソ連監視船による権益による拿捕または曳航が続き本国から巡洋艦を出動させるなどして蟹工船の作業現場を護衛させるなどして強大な国益産業としての地位を固めていたが、一方、作業現場は強制労働と搾取や暴力とでさながら北洋のタコ部屋あった。
 強制労働によって死んだ雑夫は袋詰めにされて厳寒の海に投げ込まれていった。正当な診断書も書かれずにだ。だからといって北洋の海上で脱走するすべもなく苛酷な労働条件下で雑夫たちは地獄さながらの労働に耐えるほかに生きのびる道はなかったのである。
  現代の若者たちにタコ部屋の存在を想像できるのであろうか。先程まで蟹に目もくれなかったソ連の監視船の高官らは蟹が生み出す巨額な利益に目を剥出しワイロを要求することになる。いずこの高官もゼニのことになると別世界になるようだ。

  都会の若者たちが蟹工船に寄せるものとはなんであろうか。たんなる興味本位からであるか。苛酷な労働現場と非道な生活空間であろうか。現代にみる派遣労働者の実態に重ね合わせているのであろうか。一昔前の「口入れ屋」よろしく派遣労働の賃金をピンハネする企業が成立する社会構造に批判の牙を磨ぎ出すことである。

 格差社会の不条理は官僚・政府によって生み出されたものである。著者小林多喜二は国家権力により獄中死を遂げた。なぜか。若者に読み取ってほしいものだ。

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kage


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