選挙公約は「守らなくてもよい」・米沢市長選挙はペテン選挙だった?

2007/12/13 (Thu)
法的に無知であることは国民にとって油断ならないことだと知らされた。増添厚生労働大臣の正直なコメントが新聞報道によって掲載されている。安倍前総裁は「来年3月までは社会保険の国民的疑惑を一挙に解決する」と選挙期間中は断言して歩いた。増添大臣も決意をこめて「3月までに解決できる」と公言していた。が、ここにきて「自民党の公約で出来もしないことを公約してしまったが、選挙中に出来ないとは言い難くかった」と懺悔している。「天下の自民党が公約したから選挙中は許されるもの」と思って行動したと語っている。
さて米沢市長選挙は有権者からすると「マヤカシの市長選」であった。安部三十郎候補を支援したのは「みんなの会」という政治団体であった。そこで「みんなの会」が出したマニフェストは安部候補とは関係なく、政治団体である「みんなの会」が費用を出しあって市民全戸に配布したものだという。
つまりマニフェストは「みんなの会」が出した「提言」であって、安部候補とはいささかも関係ないことだ。と、法律論を持ち出してきたのは選挙管理委員会だ。「みんなの会」が出した「提言」を候補者の安部が有権者に「安部です」と直接手渡された市民は怒る。
「だれだってマニフェストを手渡しで候補者自身から受ければ、候補者のマニフェストだと思うに違いない」と不満をブチまけるのだが、どのような行為をしようと候補者自身の名前で出さなければ候補者に責任は及ばないのだと選管は説明するのだ。
なるほど「みんなの会」が発行したマニフェストには、安部三十郎の名前が何処にもみあたらないのだ。有権者たちは「高等選挙戦術」に完全に騙されたと言ってもよい。これが法律の抜け穴であるといえよう。あれだけのチラシをバラ巻き、その作成にかかる費用は莫大なものだと推察するのだが、その費用は政治団体「みんなの会」の費用だから、法定選挙費用には換算されないのだ。
人材も多くアルバイトと名乗る人物も多かったが、それらのアルバイト費用も「みんなの会」の費用だ。安部候補者の費用持ち出しはなかったことになる。
そこで問題だが、マニフェストの「何々をやります」などと期限を明示しての文言は、「みんなの会」の「提言」であるからして行政能力の無い政治団体「みんなの会」としての実行は不可能である。
その行政能力の無い「みんなの会」が「マニフェスト」と表記したうえ、あたかも安部三十郎候補が当選後行う事柄と捉えかねない表現で、有権者を惑わす「提言」をしてもよいのだろうか?
これに応えて選管は答える。ある政治団体が「9条問題を死守する!」と提案することは自由であり「それを公約とする」と理解することは無理だという。
国民に広く選挙する機会を与えながら、実は国民の知らない所に落し穴があったことに気がついていなかった法律的無知が指摘された一件だった。
安部候補の策略は政治団体を前面に出して「費用を隠蔽する」「責任の及ばない有権者受けする提言」などの他、肩もみ・握手・訪問などよって政治に関心のない老人や行政に無知な人達の集票を計る悪知恵が働いていたということになる。
法律に無知な人間が、ペテン市長選挙だったと怒り狂うとしても、所詮は法に触れない選挙戦術の謀略だとして容認しなければならないことだろうか。

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