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私ごとで恐縮ですが

kage

2007/09/24 (Mon)

 拙作「雲井龍雄・小伝」が戯曲同人誌として「戯曲春秋」社から、全国県立図書館および舞台関係機関に贈呈されているが、老生の同人誌掲載作品は10作目になる。老生の文学への出発点は島崎藤村の自然文学であり、戯曲への開眼は北条秀司の名作「霧の音」4幕による。高校生時代に読んだ作品だけに、老生の演出による上演は実に30年の歳月を要し改めて北条戯曲の深さに敬服したものである。以来、北条戯曲の真髄に迫ろうとして研鑽して書き上げた10作品のうち越後ごぜを書いた「つぎの世は虫けらでも」3幕は県芸文祭で小国町の教育委員会の手によって上演されている。
 さて、「雲井龍雄・小伝」4幕について老生の大先輩である劇作家で、今は市原市にお住まいの鈴木健次郎氏より同人本部に届けられ転送された下記の書評が手元にある。
書評:「雲井龍雄・小伝」4幕を読ませていただきました。自分の信念に忠実に生きたある東北の若者の波瀾万丈の生涯を描いたもので内容のすばらしさに感動いたしました。また大作であり、このような見ごたえのある戯曲が大劇場で上演されたいものです。まさに北条火山脈のマグマを心にしたたかに感じました。構成も芝居の流れもスムーズで、セリフも的確でありうまくまとめたと思います。後半とくに心に秘めたよき人との交情も哀切であり、また東北の雪の降る季節のすざましい情景がよく描かれて目をつむると舞台で舞いあれる雪を感じました。こういう"ほんまもん"の作品が上演されることを信じています。いま日本は激動期をむかえていますね。

 今朝、福井県の某岬で暮らしている先輩から電話があり「雲井龍雄は君の残すべき大作だ、実によく書けている。越後ごぜを書いた作品を合わせて是非出版して残すべきだ」とのことであった。作者として身にあまる言葉であるが、いずれは出版も考えに入れておきますと答えて電話をきった。JR南千住駅前にある千住回向院の境内には橋本左内・吉田松陰など「安政の大獄」の刑死者の墓に並んで雲井龍雄の墓がある入口には2.26事件で銃殺された磯部浅一の真新しい墓もある。この狭い墓域に葬られているのはすべて刑吏の手にかかって無念の死を遂げた人々の霊だ。
 千住の小塚原は「骨ケ原」に由来するという説がある。回向院のあたりが小塚原刑場の跡である。ここで行なわれた処刑は獄門・磔・あぶりの極刑であり、斬首は小伝馬牢内の仕置場で行なわれ死骸は小塚原に運ばれて捨てられ埋葬はない。
 老生の師佐々木武観は筆を折り「雲井龍雄は郷土に生まれた君が完成すべきだ」と完成を老生に託して故人となった。引退した市議の鳥海氏がことあるごとに雲井を書くことを老生に勧め、彼の誕生の地で上演することを熱望していた。老生が手を染めることは米沢藩の為政者に敵対することになる。書けばよいというものでもあるまい。老生の気概は「理不尽に正義を拒絶した米沢藩家老たちの倫理感の希薄さからくるズルさ」を抜いて完結はしない。雲井に関して郷里の著述家は詩人の面を全面に出し政治的改革を自ら実践した英傑の面に至ってはついぞ筆が鈍っている。米沢人への媚以外に理由はない。真実を追求し筆にすることは勇気のいることである。老生の雲井は為政者の呪縛に挑戦した作品だとする自負がある。雲井の本質に触れもせずいたずらに何が雲井ファンだとするか。千葉在住の若き作家が老生に添削を求める新作戯曲が届いて机の上にある。彼らの大成を願って封を開こう。


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