鬼のひとり言 30 出た! 選挙違反!

2007/04/26 (Thu)
選挙に違反はつきものだと思ってきた。違反が白日のもとに検挙されないことの不思議さに思いを抱いきつづけてきた老生である。
劇作の仲間に地方選挙の実例を話したことがあって、勧められるままに選挙の実態を舞台劇として書いたことがある。題して「投票日前夜」は全国の県立図書館ならびに劇団関係者に配本された。米沢市立図書館にも寄贈してあるから読まれた方もおられると思う。
何としても演題の面白さは部落の選挙対策本部の動きかたにあった。
支持者または予定者の台所に「一升入り酒壜」を運ぶのは運動員の仕事である。
時効になったであろうから老生の経験をご披露してみよう。どこで知合ったのかさだかでないが彼は某市議会議員候補の運動員だったのだ。
ある日彼は前ぶれもなく、突然わが家を訪れ台所に入ってゆき「置いてきたから」と言って風呂敷を畳みながら居間に入ってきた。持ってきた形から大体の想像はついていたが彼は言った「向かいの酒屋から買ってきたんだす。持って歩くと入目につくんで、近くの酒屋から買うことにしてるんだす」成程、細心の注意を払っている心算でいるのだなと関心もした。「ところで候補者宅に顔を出していただかないと云々」と懇願するので、後日参考のためにと候補者宅を訪問してみた。玄関口で彼はすでに老生を待っている。彼の案内によって茅葺き屋根の二階に通され事務長というご仁との対面となった。
なんのことはない「酒振る舞い」の席である。酔うほどに帰ろうとする老生を玄関先まで見送って事務長なるご仁が深々と頭を下げ彼に指図する。彼は走っていって老生の自転車を運んでくる。「それじゃ」と自転車に跨がると自転車の前籠に老生が吸っていたタバコの包みが入っているのだ。「選挙とはここまで気を使うものであるか」。
老生が帰る頃には、部落の青年たちによる「部落の警備」に出掛けるところだった。
投票前夜におこり易い「他候補の部落潜入」を阻止するためらしい。聞くところによると多額の現金が飛びかうのが投票前夜だという。昔の選挙は「飲み食い法度なし」のんびりとした「ゆとり選挙」風景が展開されていたものである。現在のギズギスした選挙戦はどうしたことであろう。
古今東西を通じて選挙には程度の差はあれ、運動費は支払われているはずだ。ボランテアだけで選挙が成立するとは思えないが、法の定めがある限りにおいて昔風ののどかな選挙戦を否定しなければなるまいが、現在もひそかに行なわれている違反の摘発は官権による仕事である。不幸にして摘発された佐藤某なる落選候補が前職は市職員であったことに腹が立つ。またもや米沢市の不名誉なことである。佐藤某が職員時代どんな仕事をしていたものか市役所に聞いてみたら個人情報であるからと断られた。察するところ役職のない平職員であったことを返事は匂わせるものだった。平職員であったがゆえの市議会議員への憧れであったものか。詳細に分析する価値もない人物なのであろう。

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