鬼のひとり言 ⑫ 魑魅魍魎の俗信

2007/03/23 (Fri)
封建か? 伝統であるか? 皇室の俗信の存在!?大名家や皇室では「双子」は忌み嫌われていた。
三笠宮は双子で妹君がいた。
とてつもない本を読んだ。あるご婦人が貸してくれたものである。書籍名は「昭和天皇の妹君」。著者は河原敏明氏、皇室ものルポライターだ。
万物の霊長である人間は「一回の出産に対して-人であるべきで、二人、三人というのは畜生と同じだ」という俗信が強く「公家、大名家など社会の師表と仰がれる家では、家門の名誉のために、双子が生まれると一方を始末することが多かった」というものだ。意を受けた産婆は、その場で扼殺したり、タライの水に顔を浸けたり、時には路上に遺棄したりした。家来衆に「遣わす」こともあるが、その場合は絶対の内密。子供が長じてのち、なにかで事実を知っても親子の名乗りはおろか、対面させることもまずなかったという。同性の双子まだ「畜生腹」ですんだが、男女の場合は「情死者の生まれ代わり」とされ同じ忌まれるにもその差は次元を異にしている。
「三笠宮さまには、妹さんがいる。双子さん――俗にいう"畜生腹"だった。生まれるなり山本伯爵家に渡されて、いまは奈良で尼さんをしている」という―― ? 庶民には「双子も三つ子」も歓迎されて当り前だが、皇室にはそれなりの俗信が少なくとも戦前までは生きていたということになる。
皇室と仏門の関係は深い。絶対洩らしてはならない秘密は仏門に入る事によって護られるということになるからに他ならないのだが。寺側にすれば高貴なお方が仏門に入られると寺院の格もあがり実入りも多くなるというメリットもあるからだろうが、庶民には想像もつかない大家や皇室のシキタリともいうべき伝統なのであろう。
現代は小子化問題に悩むご時勢であるが、歴史を紐解いてみると「大名家」とともに「皇室」にも「官女」がいたから、必ずしも「皇妃」が産んだ天皇ではないらしい。
これ以上書くと「不敬罪」のそしりを受けそうだから筆を止めるが、いやはや封建とは大家や皇室などに生き永らえていたのかと改めて日本古来の封建に思いをはせている次第。伝統を重んじる英国の王室にも同様なシキタリはあるのだろうか。
妻にことの次第を話したら「そんなことは昔からあったことでしょう」と一笑に伏されてしまったが、人間を万物の霊長だとする人間社会のおこがましさはいつまでも通用するものであろうか。太陽とともに寝起きする原住民たちの生活に「羨ましさ」を感じることがあるのは老生だけであろうか。
現今の異常天候は何を意味するものであろうか。自然現象の恐怖にいまさらのように驚きおののいている現代人である。わが国の第一次産業は申すまでもなく「米穀」である。それを産出する農業従事者が消えようとしている現状に政治は手をこまねいているだけで決定する良案もない。わが国は世界最大の農産物の輸入国である。しかも「1日に10万食を廃棄する国家でもある」奢りはいつまでも続くまい。

鬼のひとり言 ⑬ 歴史ある城下町づくり≪ | HOME | ≫鬼のひとり言 ⑪ 首長と議会のもたれあい
コメントフォーム

この記事へのトラックバック

この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)