地域社会の活性化のために

2007/02/14 (Wed)
過日、「寒鱈を喰う会」を15年ほど主催しているという[御堀端史蹟保存会]の世話方をしている知人に頼み込んで参加させてもらった。遠山に近い会場には常連であろう50人ほどの参加者が集ってのイベントだった。本年は選挙の年ということで地域を票田とする市議会候補者の顔もチラホラ見えていたが、大方の参加者は老齢者が多かったようだ。お互いに利害関係のない人たちが集い合っての会合は、催しの少ない米沢市内では気宇の会合だといえよう。特別な挨拶もなく、特大の寒鱈を大鍋二つに季節の野菜とともに煮込んだ鱈鍋をドブロクとともに胃の中にブチ込む爽快さは若者に食べさせてやりたい旬の季節料理だと感じ入った次第。
主催側も参加者に楽しんでもらいたいという企画も用意されていて大型のシンビジウムや豪華賞品の争奪戦をビンゴゲームで展開、会場のあちこちから「リ-チ!」などと勢いのよい掛け声が出る。
おさだまりのカラオケ大会に合わせるように鍋底を突く者もいて二つの大鍋には汁すら残らない盛況さだった。
参加者の常連が漬けたものであろう、若者たちが敬遠する漬物の旨かったこと、遠山名物の雪菜も用意されていて主催者の心配りにほのぼのとした感慨を強くしたものだった。
この会合には一片の利害関係もなければ理屈もない、まして政治的な匂いもしない、ただ和気藹々と知らぬ同志が主催者の心づくしの寒鱈鍋をお茶椀に盛って噛り付くだけの原始的風景がそこにあるだけ。わが市の中央部では考えられない素朴な会合なのである。
郷土には後世に伝えたい風習というものがあるとすれば「秋の芋煮会」などであろうか。芋煮会には地域によって牛肉を使う地域と豚肉を使用するところがある。会津若松市の芋煮は豚肉オンリーである。自慢が高じて会津若松の知人宅で老生が牛肉を使った芋煮を作るはめになった。
場所は鶴ケ城を間近いにした元外交官の別荘であった。市長はじめ助役、会津の名士がゴマンと集まっての「米沢流芋煮」を味わう会と命名された会合だった。
名々、言葉もなく丼二杯分を腹におさめてのたまったものだ。「やっぱり豚肉の方が腹に落ちつくな」だった。なるほど、会津地方は馬肉が主流で、町の肉屋で牛肉は買えない。肉屋にあるのは豚と鳥と馬肉だけである。どうしても牛肉が欲しいときにはデパートまで出掛けなければならない。米沢牛は一段と高い値をつけて売っている。幸いにも米沢の肉屋さんでは昔から牛肉が主役を努めていた。
そんなわけで会津では二十歳になって牛肉を初めて食べたなんてことはないようだ。荘内には伝統的に寒鱈があるように郷土には牛肉がある。どちらの食物も地域的な交流の場で役立てたいものである。無論、一切の情念を払って利害の存在しない集いは楽しいだけで意義がある。

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