公務員の性(さが)

2020/07/29 (Wed)
公務員の性(さが)公務員は全体への奉仕者と定められているが、それを実感している住民は何人いるだろうか?
米沢を良くする会氏の投稿に「ナセバの指定管理者」と「愛の商品券」に関する投稿があった。公金の支出を伴う事業であるから、どちらも奉仕者である市職員が主体で事に当たるのが筋だろうが、ナセバは「公益財団法人上杉文化振興財団」に丸投げし、愛の商品券は主催が(協)米沢市商店街連盟で窓口は米沢商工会議所になっている。
本市の指定管理者制度導入の目的には「民間団体の持つノウハウを施設管理に活用することで、多様化する住民ニーズに効果的かつ効率的に対応し、住民サービスの向上が図られることや、経費の節減等が図られることが期待されています」とある。
が、ナセバを請け負った上杉文化振興財団は、上杉家の文化財を管理する目的で運営されているので、ナセバの図書館運営やギャラリー運営、ましては設備の維持管理などはズブの素人集団であるから米沢を良くする会氏のような苦言が生ずるのは当然である。
こんな素人集団に約9億円(5年間)の委託料を随意契約で締結し、議会もスルーで承認していることに対し、「市主体で図書館・ギャラリーを運営し、設備の維持管理は競争入札で指定管理者を選考すべし」と市担当者に抗議したら「一括発注の方が経済的で効率的」と宣(のたま)うのでそれらの調査・検討資料の開示を求めたが「そんなものは無い」との返答であった。
愛の商品券も市の公金が投入されるのだから、市が主体で行った方が市民は奉仕者として職員を評価しようが、商店街連盟や商工会議所主体の企画と感じる現行では市職員の存在感はない。
経費の出所は本市であるにも関わらず、市職員が表面に立たないのは、万が一失敗したときの責任逃れや、直接市民からの苦情を受けなくて済むとした下賤な考えが根底にあるのではないか。
この度の米沢を良くする会氏の投稿から「失敗しないためには何もしないこと、職員に責任の及ばない策を講じるのが優秀な公務員の証」とする「公務員の性」が感じられる。

花は咲けども

2020/07/24 (Fri)
花は咲けども松が岬公園北側堀の蓮が開花の時期を迎え、例年なら多くの観光客で賑わうのだが、今年はコロナ騒ぎで大型観光バスの来米は3月より見られず、今月22日から約1.7兆円をつぎ込む観光需要喚起策の「Go Toキャンペーン」も「観光客が来てくれるのは嬉しいが、コロナを持ち込まれるのは心配」と手放しでは喜べない。事実、他圏では駐車場に「他県ナンバーお断り」の表示をした店もあるという。
そこで最近注目されるのが「定住自立圏構想」だ。
定住自立圏とは、市町村の主体的取組として「中心市」の都市機能と「近隣市町村」の農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用して連携・協力することにより、他圏に頼らなくとも地域住民のいのちと暮らしを守り圏域全体で必要な生活機能を確保し、人口定住を促進する政策である。
ここ置賜地域でも「定住自立圏構想」の趣旨に添った 「一般社団法人 置賜自給圏推進機構」が平成26年8月に発足したものの、置賜地区住民の関心は低かった。が、7/18の読売新聞に「米沢牛のふんで発電」の見出し記事が掲載された。
これは「東北おひさま発電」(長井市)が飯豊町添川の眺山地区に新設したもので、近くの畜産業者より地下パイプで牛ふんを集め、発生するメタンガスを燃料に発電し、一般家庭900世帯分の消費電力を賄うことが可能とのこと。
牛ふん発電は置賜自給圏推進機構は関与していないようだが、電力の自給と言う点では「定住自立圏構想」に添ったもので、コロナ騒ぎのこの機会に「置賜自給圏構想」を本市でも議論すべきと思うが如何か?
自給圏シンボルマーク 作者:関玖瑠未氏



仙台高裁の興味ある判決②

2020/07/14 (Tue)
仙台高裁の興味ある判決②長岡氏が県に求めたのは「東海山形学園の財務書」類だったが、肝心部分が塗りつぶされ、内容を知ることの出来ない書類であったことら、全文開示を求め山形地裁に起訴した訳だが、山形地裁は県が主張する「財務書類の詳細な内容を開示すれば、法人の正当な利益を害するおそれがある」との理由を支持し、県側勝訴・原告側敗訴の判断を示した。
上場民間企業なら「財務書類の公開」は当たり前で、公開したことにより不利益を受けた話など聞いたことがない。ましてや公金の助成を受けている学校法人が情報を公開しても何の支障もないと考えるのが社会通念だろう。
かように裁判官と民間人との感覚にはズレがあり、小生も裁判官の常識には疑問を持っている。
それは、ナセバ建築工事の際に請負業者が10月に大幅な工事遅延を出し、納期である12月までに完成することができずに、完成が翌年の3月までの遅延工事に対して、本来請負業者に違約金を求めるべきところ、米沢市は何と12月の大雪を理由に3,000万円を上乗せして工事料を支払ったのである。
小生等は「10月の工事遅延と12月の大雪は無関係なので3,000万円の公金支出は違法」として起訴したが、裁判官は10月の工事遅延には一言も触れず「工事遅延は12月の大雪が原因」との判断を下して小生等は敗訴した。
T弁護士は「行政訴訟に法律は関係ない。常に行政側の言い分を認めて判断を下すのが常套であるから、住民側は負けます」とにべもない。
しかし、長岡氏は山形地裁の判決を不服として仙台高裁に控訴し、今年の3月に下されたのは「県側敗訴・原告側勝訴」の逆転判決であった。
長岡氏はこのことに次のようにコメントしている。
「山形地裁の裁判官たちはトンチンカンな判断をしたのに対して、仙台高裁の裁判官たちはまっとうな判断をしてくれました。高裁の判決で一番うれしかったのは、判決文の中に「情報公開は社会全体の流れである」という表現を盛り込んでくれたことです。自由で公平で、より開かれた社会へ。それは歴史の大きな流れであり、私たちはそれぞれの立場で、その大きな流れをより確かなものにするために力を注がなければならない。そう励ましてくれるような判決でした。
吉村美栄子知事は仙台高裁の判決に納得せず、上告しました。最高裁がどのような判断をするか分かりませんが、歴史の大きな流れに逆らうような、理不尽な判決を下すことはないたろう、と信じています。」
法に関心のある方なら「画期的な判決」として興味津々の出来事であろうが、社会の公器である新聞・テレビのマスコミには興味がないのか報道の記憶がなく、山形のタウン誌「素晴らしい山形」が取り上げているのを知るだけである。

仙台高裁の興味ある判決①

2020/07/11 (Sat)
仙台高裁の興味ある判決①吉村美栄子山形県知事の義理の従兄弟(いとこ)、吉村和文氏は学校法人東海山形学園の理事長だが、ダイバーシティメディア(ケーブルテレビ山形から社名変更)の代表取締役でもある。
山形県は東海山形学園に毎年約3億円の私学助成金を交付しているが、その内の一割に当たる3,000万円が、東海山形学園よりダイバーシティメディアに融資されている。
この融資に対し、市民オンブズマンの長岡昇氏は「きな臭い、何らかの法に触れるのでは?」と、監督権限を持つ山形県に東海山形学園の財務書類の情報公開を求めたところ、開示されたのは「財務書類の詳細な内容を開示すれば、法人の正当な利益を害するおそれがある」との理由で詳細をマスキングした代物であった為、この行政側の所業に対し、2017年7月に長岡氏は山形地裁に告訴した。が、2019年4月に「県側勝訴」の判決が示されたことを不服として、仙台高裁に控訴し、今年の3月に判決が下された。
※経過の考察と問題点
どの自治体でも、行政に対する住民の理解と信頼をより深めるを目的に、情報公開制度を設けているが、国会でも馴染みの「のり弁」と揶揄される手法で以て肝心の部分はマスキングして公開されるのが殆どである。
それが不服であれば、知識経験者で構成する「情報公開審査会」に妥当か否かについて諮問できるのだが、知識経験者とは名ばかりの行政擁護団で構成され、行政側の判断が覆ることなど期待できないのが現状である。
そこで裁判となるわけだが、裁判官を「正義の味方」「社会通念を弁(わきま)えた人物」などと思っているのは妄想で、「絶望の裁判所」の著者である「瀬木比呂志」元最高裁判事は裁判官を評して、「彼らは、自らの出世や評価には極めて敏感だが、市井の人の思いや希望などにはほとんど関心がない」と記しているように、世間ずれしたトンチンカンな判決を下す場合が多々ある。
果たして長岡氏控訴の仙台高裁の判決は?
【続く】

ひょうたん工芸

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