政府用語は日本語を破壊してよいのであるか?

2003/03/27 (Thu)
問題の「暫定ガソリン税」とは田中内閣が日本列島改造論時に設けられた税制であったはずだ。ただしその税には「暫定」という頭文字がついている。「暫定」という言葉の意味を広辞苑では次のように記している。
「暫定」という言葉の意味は「しばらくそれと定めること」「暫定予算とは、会計年度開始までに本予算が成立しない場合、その成立までの空白期間をつなぐため一時的に実行される予算であり、本予算が成立すると失効する」と記してある。
したがって「暫定」とする期間が30年間も引きずることがないのが常識であろう。国民が暫定ガソリン税に慣れてきたからといって、その税制に蓋をしていた政府そのものにズルさが見られるのだ。
老生もここにきて暫定税制が課せられてきたことに気づいたものだ。政府要人のズル賢さが今になって白日に曝されているわけだ。
最近、テレビ番組で「漢字の読み書き」が行なわれているが、肝心の「暫定」を取り上げる番組がないのはどうしたわけであるか?
国民が注視している言葉と意味である。少なくとも30年も永らえる暫定という言葉は一般社会通念として通じないものである。にもかかわらず政府要人の間に30数年も通用していたことに驚き、今もって政治問題として生きていることに唖然とするばかりだ。
また、地方財政に響く問題だとして県知事らが騒ぎだしているのもおかしいのではあるまいか。
中央政府の「暫定予算」が本決まりにならないうちから県単位の予算を組むことも早計だと考えられるし、それこそ「暫定予算」として政府の出方を待つのが正しいのではあるまいか。
予算を組む作業が済んだからといっても「暫定ガソリン税」が国会を通過すると読んだ地方の首長の考えも早計だと考えられる。
古来ある日本語の意味を安直に使った政府要人のツケが今頃になって墓穴を掘ることになったわけだ。
またガソリン税に加えて消費税が加算される税制にも問題がある。政府は国民から徴収できた税を今さらのように減免処置にするのも辛いだろうが、国民を編し続けてきた政府にこそ取り返しのつかない汚点がある。しかも道路税と解される税の使用目的外に箱物や他に使用されている実情を国民に開示されている以上、国民に「暫定ガソリン税」の賛同を得るのは無理というものであろう。
政府が規定のガソリン税を一般財源とするにしてもそれは「税金の値上げ」に準ずるものであり、国民がそれを承知するや否やは別問題として考慮する必要があるだろう。
国民はまず議員の資質に鑑み議員定数の削減を求めている。議員らは少数の闘士的な議員を除いては、地方では名士然として、権力を行使しての癒着構造に変わりないと考えるのが国民の常識。
日本人は古来伝統的に上意下達のパターンに慣れきっている国民性であるから「権威・権力」に弱い国民である。
今でも権威・権力者にへつらうという感慨は強く、チベット自治区に見られるような抵抗意識は育たない国だ。
「日本に革命が起きた!」と全世界に報道された事件は宮城前広場で起きた学生たちによる火炎瓶騒動がそうであろう。あのエネルギーは若者にはみられない。
自給率39%の日本が食料輪出国から言いたい放題のイジメにあうのは時間の問題であろうから、願わくはせめて政府要人たちは、日本語の意味ぐらいは精通していてほしいものだ。

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